乾癬性関節炎の原因
乾癬性関節炎が起きる原因は、まだはっきりわかっていません。ただ、遺伝的な体質に加えて、ストレスや感染症などの外からの刺激が複雑に関わり合って発症すると考えられています。
本来は体を守るはずの免疫システムが過剰に反応してしまい、炎症を起こす「サイトカイン」と呼ばれる物質(TNFαなど)が大量に作られて、皮膚や関節で腫れや痛みを引き起こすとされています。
免疫細胞について
免疫細胞は、体を細菌やウイルスなどの外敵から守る「免疫」に関わる細胞のことです。実は、ほとんどの免疫細胞は「白血球」から生まれます。例えば、「マクロファージ」、「樹状細胞」という免疫細胞は、白血球が体の組織に移動して変化したものです。また、「リンパ球」は白血球の一部として、血液中を流れています。
リンパ球は大きく3つの種類に分けられます。そのうち、乾癬性関節炎の症状には、ヘルパーT細胞のTh17細胞が大きく関与していると考えられています。

サイトカインについて
サイトカインは、免疫細胞などから作られるタンパク質で、細胞同士の情報交換に使われるいわゆるメッセージのような物質です。サイトカインの種類によって免疫細胞を活性化したり、炎症を起こしたり、免疫反応を調整したりします。その中で、炎症を起こすサイトカインを「炎症性サイトカイン」と呼びます。
主なサイトカインとして、リンパ球から作られて免疫反応を調整する「インターロイキン(IL)」、がん細胞への攻撃や炎症を起こしたりする「腫瘍壊死因子(TNF)」、ウイルスに対してはたらく「インターフェロン(IFN)」などがあります。
サイトカインは、情報を受け取る先の細胞表面にある「受容体」という部分に結合して、情報を細胞内に送り込みます。その結果、新たなサイトカインを作り出したり、炎症を起こしたりします。
なお、受容体には「ヤヌスキナーゼ(JAK)」と呼ばれる酵素が結合しています。JAKは炎症を引き起こす細胞内の情報伝達をコントロールしています。
乾癬性関節炎の症状を起こすうえで重要なサイトカインは、IL-12、IL-17、IL-23、TNFαです。まず、免疫細胞の一つである「樹状細胞」や「マクロファージ」からIL-12、IL-23が作られます。それぞれがTh1細胞、Th17細胞に作用し、TNFα、IL-17といった炎症性サイトカインが作られます。このTNFαやIL-17が関節に炎症を起こします。